ふくおか旅歩記〜筑後川昇開橋を訪ねて〜
 
筑後川昇開橋(国指定重要文化財)
夕日の昇開橋
昇開橋夕日
 古賀メロディーのふるさと、そしてインテリア産業のまちとして知られている福岡県南部に位置する大川市。中でもひときわ目立つのが、筑後川にシンボルとしてそびえたつ筑後川昇開橋。1935(昭和10)年、旧国鉄佐賀線の敷設とともに架設された東洋一の可動鉄橋で、現在は遊歩道として保存されている貴重な文化遺産だ。

昇開橋を渡る汽車(モノクロ) 佐賀線の歴史    
 明治から昭和にかけ、若津港(現大川市)は筑後地方の重要な港として地域の産物や大川家具が海路、日本各地へ運ばれていた。また、対岸の諸富港(現佐賀市)も重要な港として発展。しかしこの若津港と諸富港の間には、九州一の大河、筑後川が横たわり、唯一の交通手段は渡し舟だけ。陸路、長崎・佐賀方面と熊本方面を結ぶには鳥栖を経由するしかなかった。

 その様な状況の中、長崎から熊本への短絡ルートとして計画されたのが長崎本線佐賀駅と鹿児島本線矢部川駅(現瀬高駅)を結ぶ24.1kmの佐賀線だった。写真提供:(財)筑後川昇開橋観光財団。

当時の様子(モノクロ) 佐賀線建設において一番の難所が大小の船舶が通る水運の要路、筑後川。当時の船舶は大きな煙突やマストを持っており、どういう橋を架けるかが最重要課題だった。橋梁は一般的には動かないものであるが、特殊な橋として跳開橋、昇開橋、旋回橋などの可動橋がある。

 筑後川橋梁には昇開式可動橋が採用された。これほどのスケールを持つ昇開式可動橋は世界でも珍しく、その模型は時のパリ科学博に出品・展示され、現在も東京・神田の交通博物館に展示されている。最大800トン級の船舶が通過できる筑後川昇開橋。長さ507.2m、その中央部に24.2mの可動部を設け、ボタン一つで可動部が23m上昇するしくみだ。写真提供:(財)筑後川昇開橋観光財団。

旧国鉄佐賀線路線図

佐賀線 さよなら佐賀線
〜時代の流れ、そして佐賀線廃止〜
 1935(昭和10)年に営業を開始した佐賀線。開通以来、人の往来はもちろん貨物の輸送も盛んになり、筑後と佐賀を結ぶ大動脈として大きな役割をはたし、酒、醤油、瓦、ワラ加工品、魚類の輸送を盛んにし地域の発展に大きく貢献。また、一時は長崎と熊本を3時間半で結ぶ急行「ちくご」が走るなど活況を見せた。

 しかし、戦後モータリゼーションの波は次第に大きくなり、人や物資の輸送は、バス・トラック・マイカーへと移り変わる。賑わっていた佐賀線の利用もめっきり減っていき、100円の収益をあげるために692円の費用が必要となる赤字路線となっていた。そして1987(昭和62)年3月27日廃止となり、52年の歴史に幕を閉じた。写真はさよなら佐賀線の様子。写真提供:(財)筑後川昇開橋観光財団。

現在の昇開橋 現在の昇開橋(保存決定)
 佐賀線廃止後、河川管理者の建設省からは昇開橋の撤去勧告がなされ、国鉄でもその方向で検討された。その一方、両岸の大川市と諸富町の住民にとっては、地域のかけがえのないシンボルであるこの橋を存続させ、観光資源として活用したいという機運がわき起こり存続運動が展開された。平成2年度に存続活用する方針が決定。大川市と諸富町では一致協力して観光施設にふさわしい遊歩道として整備することとなった。

 平成8年4月、かつての鉄道橋は、観光施設「筑後川昇開橋遊歩道」として生まれ変わった。同年12月には、貴重な近代土木遺産として国の登録文化財となっている。そして平成15年5月30日、技術的に優れており、歴史的に価値が高いと評価され、国の重要文化財に指定された。筑後川昇開橋遊歩道はオープンより毎年多くの観光客が訪れ、今年3月来訪者が50万人を突破した。

橋桁 橋桁
〜筑後川昇開橋のしくみと観光のポイント〜
 2基の鉄塔に挟まれた橋の中央(可動部分)の長さが24メートル、自重は48トンもある。大型船が通過するときはモーターで可動部分を上げるが、モーターの負担を減らすため、可動部分と吊り合う重量の鋼鉄製の鍾(おもり)(20トン2つと8トン1つ)を鉄塔からワイヤーで吊り、高さ23メートルまで5分で引き上げている。

 筑後川昇開橋の観光ポイントは、橋の上で可動部分が昇開する様子を眺め、対岸の諸富側まで渡ろう!諸富側の橋のたもとには物産館「もろどみ一番館」があり農産物等を購入できる。

筑後川昇開橋観光財団の事務局長さん (財)筑後川昇開橋観光財団
 さて、現在昇開橋遊歩道を運営・管理しているのは大川市と諸富町(現佐賀市)が設立した財団法人筑後川昇開橋観光財団。昇開橋をシンボルとする「個性ある地域づくり」を推進している。今後の取り組みなどを事務局長さんにお伺いした。ご自身も少年時代から佐賀線をよく利用していたそうだ。「佐賀線が廃止になり全国の路線が載っている時刻表から大川という駅名が消えた事は寂しいですね」と語る。写真は事務局長さん(中央)と昇開橋を操作するスタッフの方お2人。

 事務局長さん:「現在、昇開橋を活かしたイベントとしてスタンプラリーやスケッチ大会、写真コンテスト等を定期的に開催しています。また、夜にはライトアップを行っています。将来的には、あくまで個人的な思いですが、レールと枕木を復活させた保存の仕方や、付近にある橋も合わせて眺める遊覧船の運行、可動部分にお客さんを乗せて上昇させ、雄大な景色を楽しんでもらう等の夢があります。昇開橋は国の重要文化財にも指定されております。地元のものという事ではなく、国民皆様の宝ですので、ぜひおいでいただきたいと思います」。

筑後川昇開橋の歩み
開通日(国鉄佐賀線)・・・昭和10年5月25日
方式・・・・・・・・・・・・・昇開式可動橋
鉄橋の長さ・・・・・・・・・・506m
可動橋の長さ・・・・・・・・・24m
可動橋の重さ・・・・・・・・・48トン
鉄塔の高さ・・・・・・・・・・30m
廃止(国鉄佐賀線)・・・・・・・昭和62年3月27日
筑後川昇開橋遊歩道開通日・・・平成8年4月29日
国登録文化財・・・・・・・・・平成8年12月26日
国重要文化財・・・・・・・・・平成15年5月30日

昇開橋周辺図

●お問い合わせ
(財)筑後川昇開橋観光財団 TEL:0944-87-9919
所在地:福岡県大川市大字小保614-6
筑後川昇開橋
所在地:佐賀県佐賀市諸富町大字為重、福岡県大川市大字向島若津

昇降・通行可能時間
降下時間 通行可能時間 上昇時間
9:00 9:00〜9:35 9:35
10:00 10:00〜10:35 10:35
11:00 11:00〜11:35 11:35
12:00 12:00〜12:35 12:35
13:00 13:00〜13:35 13:35
14:00 14:00〜14:35 14:35
15:00 15:00〜15:35 15:35
16:00 16:00〜16:35 16:35

料金:無料
休日:月曜(祝日の場合は翌日)
駐車場:あり
※自転車・バイク・ペット連れの通行はできません。
※ 悪天候の場合は閉鎖することがあります。


■筑後川昇開橋 大川市立清力美術館
古賀政男記念館・生家 旧吉原家住宅
風浪宮本殿 第57回 大川木工まつり [イベント]
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