水辺の文学さんぽ路
川沿いの動植物を見ながら散策
高浜虚子文学碑前にて
 江津湖は、熊本市の南東部に位置する周囲6km、湖水面積約50ヘクタールのひょうたん型をした湖で、加藤清正が治水事業の一環として造った人造湖ともいわれています。湧き水の量は、1日約40万トンで、「水の都熊本」を象徴するものの1つとして親しまれています。
 そんな江津湖周辺には、熊本ゆかりの文学人の句碑、歌碑が数多くあり、「水辺の文学さんぽ路〜江津湖畔をエンジョイしよう〜」では、芭蕉林、句碑めぐり、植物・生物ウォッチングなどをしながら江津湖を散策、そして熊本近代文学館を巡ります。

 ボランティアガイドの落合典子さんの案内で、まずは加勢川上流沿いに「高浜虚子」の句碑がある芭蕉林(ばしょうりん)へ。水前寺成趣園にある源流から流れてくる水は透き通っていて冷たく、夏場の火照った体をひんやりと冷ましてくれます。
 ここにはゴイサギ、カワセミなどの珍しい鳥類、様々な植物や魚が集まり、まるで別世界のよう。初夏にはホタルを見る事が出来るのだとか。

 肥後細川家には藩主一門重臣として長岡内膳家と長岡刑部家があり、芭蕉林はかつて内膳家下屋敷があった場所。高浜虚子3回目の来熊時、当時井関農機の所有になっていた下屋敷に泊まった高浜虚子の出身地が、井関農機本社と同じ松山市ということで句碑が建立され、芭蕉林を全国的に知らしめたのだそうです。
 また俳紙「阿蘇」を主宰した「安部子壷」の句碑や、江津湖の側に実家があったという「中村汀女」の句碑を巡りながら、江津湖にゆかりある様々な俳人の逸話を聞きながら、「夏目漱石」の句碑の元へ。

 当時は熊本で五高の英語教授をしていた夏目漱石ですが、生涯で歌い上げた約2400ある俳句の内、4割ほどをここ熊本で作っています。そのうちの一つがこちらにある句碑。どの俳人の句碑も江津湖の当時を思わせるものばかりですが、この夏目漱石の句碑では、今とは違う江津湖の姿に驚かされました。
 
ふるい寄せて白魚崩れん許りなり
 
 網ですくうと白魚が塊で入ってきてつぶれて壊れそうだった。というような意味だそうです。今でも十分美しい江津湖ですが、やはり以前と比べると大幅に水も減り、植物や生物の数も減ってきているのですね。当時の俳人達が見ていたような風景が見られないのが残念ですが、せめて今私達が見ているものを後世に残せるようにしなければならないと思いました。
 江津湖畔の対岸、西側には加藤清正が水を堰き止める為に築いた堤防「江津塘(ども)」があり、今はその上を道路が通っています。鹿児島の島津藩が攻めてくるのを止める戦略的な意味もあり、また敵に悟られないよう大名格の家臣のみで造ったことから「大名塘」とも言われていたそうです。そんな江津湖にまつわる歴史なども聞きながらの散策も終わり、休憩をかねて県立図書館内のサロンへ。
 最後に立ち寄った熊本近代文学館は、熊本にゆかりのある作家、文学者やその作品、資料などを鑑賞できる施設。こちらで解説ボランティアの方による案内を経て、江津湖畔をめぐるコースは終了です。
 文豪達が愛した自然を愛でながら散策していると、2時間という時間もあっという間に感じられました。熊本の絶好の癒しスポットへ是非訪れてみませんか。
【案内日】毎月第1・3日曜日

夏目漱石の句碑
中村汀女の句碑


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