マリンレジャー満喫!天草西海岸 ほんもののエメラルドグリーンの海が待ってる

 昼寝も交えつつ2〜3時間ほど海で遊んだら、陽ざしが強くならないうちに茂串海岸を去ります。泳ぎ疲れてすっかり腹ぺこになったので、昼食を取ることにしました。牛深といったら、県内随一の漁港。ここで本場の海の幸を食べずには帰れません。
 牛深港は、年間3万トン、約100億円の漁獲高を誇る九州でも屈指の漁港で、深い入り江を持ち、黒潮がぶつかる天然の良港です。古くは江戸時代からカツオ漁の基地として栄えてきました。市場には新鮮なアワビ、伊勢エビ、タイ、ブリ、名物のキビナゴなどが水揚げされ、漁師たちの威勢のいい競りの声で一日がはじまります。
 再び牛深市内に戻り、港の近くで新鮮な魚介類が食べられる店を探していると、ハイヤ大橋の真下に「うしぶか海彩館」という珍しい建物を見つけました。
 ハイヤ大橋はご覧のとおり、美しいカーブを描く優美な橋で、魚の鱗のような風よけ板が特徴です。全長883m、県内最長の橋です。「くまもとアートポリス」参加事業のひとつとして、有名な建築家が設計しました。芸術にまで極めたデザインは、橋脚をできるだけ少なくし、海上でカーブした一本の線を浮揚したように見せることで、牛深港の景観と自然に溶け込むように配慮されています。
 港をぐるりと半円形に囲むようにして架かり、海も港の景色もばつぐんです。歩道が車道よりも低く、車内からも風景を楽しむことができます。通行料は無料なので、遠回りしてでも渡ってみてはどうでしょうか。

 さて、この「うしぶか海彩館」は、漁業の歴史資料館、世界の貝展示室、牛深紹介コーナー、ハイヤ道場、特産品販売コーナー、食事処などを備えた牛深の情報の発信地です。ここのレストランなら、きっと本場の海鮮料理が食べられるに違いない!と期待に胸をふくらませ、足を踏み入れました。

 正面玄関を入ると、まず巨大な水槽にびっくり。いけす広場です。
 魚専用「流れるプール」のようなドーナツ型の巨大な回流型水槽で、牛深で採れるさまざまな魚介類を養魚しています。壁には「魚たちの出欠表」が貼ってあり、たくさんの魚介類が名を連ねています。今日はどうやら若干の欠席があるようです。
 水槽の周りでは、大人も子供も珍しそうに、元気よく動き回る魚たちをのぞき込んでいます。普段、スーパーで白いトレイに乗った調理済みの魚は見ていても、実際の魚たちが泳ぎ回るところにはなかなか出会えませんからね。
 「流れるプール」では、大きいタイが体をくねくね動かしながら、流れにそって軽快に泳いでいます。顔を近づけると、タイもじーっとこちらを見ます。人間っておもしろい顔してるなー、なんて考えてるんでしょうか?。余計なお世話です。

 プールの外に置いてある普通の水槽には、これまた大きな伊勢エビがのそのそと動いています。別の水槽では、巨大な貝が壁にべったりはりついて、ときおり顔を覗かせます。海で遊んで腹ぺこの状態の私が、このとき抱いた感想は、ただひとつ。「おいしそう。」
 食べ物としてしか魚たちを見ることができない、食欲大魔人の私。ちょっと悲しくなってしまいました。いや、でも「いけす広場」なんだから、いいじゃん…。プールの輪の中には、カラフルな熱帯魚たちが・・・って、これはさすがに食べませんが。
 よだれを垂らさんばかりで魚たちを見つめている私に、朗報が入ります。お店の人の話だと、水槽の中のとれたての魚介類を調理して食べさせてくれる食事処があるそうです!やったあ、来てよかった。

 先ほどまで泳いでいた魚たちを思い浮かべながら、いそいそとお食事処へと向かいます。海彩館の施設のひとつ、天草郡内で唯一の本格的シーフードバーベキューの店「こだわりの漁師村」です。1999年の4月にオープンしたばかり。素朴な木の造りがいいですね。

 ここでは、牛深港でその日に水揚げされたばかりの新鮮な海の幸だけを提供してくれます。先ほど水槽を泳ぎ回っていた魚たちですね。お客さんの要望といえども、肉や野菜などは一切出さず、魚介類だけにこだわっています。口コミで人気が広がり、家族連れやシルバー世代が特に多いそうです。9:00には仕込みができているので、前もって予約の電話を入れて、好みの魚介類を伝えておけば、いつからでも食べられるそうです。夜はハイヤ大橋のイルミネーションが間近で見られる、絶好のポイント。オーダーストップは20:30です。

 さっそく「海鮮グルメセット」(1人前2,500円)を注文してみました。飛び込み注文も可ですが、45分も待たなくてはならないので、前もって電話予約した方が良いみたいです。
 漁師村の村長・橋口さんが、出される魚介類の説明と焼き方を指導してくれます。さて、今朝とれたてのメニューはこれです。炭火焼用のツリアジ、アカイカ、サザエ、とんぴ貝。特製赤みその野菜田楽も銀紙に包まれて出てきました。刺身は、イッサキのあらい。突きだしは、イッサキの子に、イカのサラダ。ワカメの吸い物も付き、デザートは、生クリームにのったスイカと、牛深の郷土のお菓子「こっぱもち」です。

 カゴに乗せられた魚介類はまだ生きていて、ぴちぴちと動いています。「食べないでくれ〜」と叫ぶ声が聞こえそうです。だめだよ〜ん、たべちゃうよ〜ん。
 指導をお願いすると、慣れたようすで炭火にかける橋口さん。丁寧に、慎重に焼いてくれます。

〜焼くときに一番気をつけることは何ですか?〜

橋口さん:炭火焼きはちょうどいい具合に焼けるので、より一層味が出ると思います。アジやイカはじっくり焼かないと、裏返すときに皮が剥がれてしまいます。お客さまには、あせらず、のんびり召し上がってほしいですね。もちろん焼きすぎにも注意しています。

 海の幸を、できるだけ美味しく食べてもらいたい、という暖かい心遣いがうれしいですね。子供のお客さんには、実際魚を焼く体験をさせているそうです。これまためったにない機会なので、子供たちには貴重な体験になるでしょうね。

 一緒に焼き具合を見ているのは、海彩館の支配人・山田さんです。

山田さん:旬の魚をおいしく食べてもらうことで、健康増進にもつながります。また、牛深の魚は、他の土地の魚とは全然味が違うんですよ。それはもう、目玉が飛び出るくらいおいしいんです。

 おお、かなり自信満々ですね。地元の魚がナンバーワン、と誇りに持ってらっしゃるところにますます期待が高まります。わくわく。

 網の上でじりじりと焼かれている魚や貝。断末魔の叫びが聞こえそうです。別名「ざんこく焼き」とも言われています。体をよじり、ぶくぶくと泡を吹く、とんぴ貝。これまた泡を吹いて、最後のあがきともがくサザエ。ジジジと音を立てながら、体をよじ曲げる大きなイカ。ほどよく焼けた香ばしいにおいを放つアジ。
 それらをじっと見守るわたしは、さながら地獄の閻魔大王。舌なめずりして、今か今かと焼き上がるのを待ちます。

 おっと、刺身もあったんだ、とイッサキのあらいに箸をつけます。身がしまって硬く、なかなか噛みきれないくらい歯ごたえがあります。とれたて新鮮な証拠ですね。イッサキの子も、甘くトロリとして、ごはんにぴったりです。
 橋口さんが、冷えたビールを持ってきてくれました。このビールももちろんセットです。山田さんと海鮮バーベキューに乾杯し、上機嫌です。
 「そろそろいいですよ、食べてください」と橋口さん。焼けたサザエを取り、つまようじでくるっと身を取り出します。おみごと!サザエの身はぷりぷりと詰まっていて、潮の風味がしみ込んでいて、美味です。とんぴ貝は初めて食べたのですが、これまた身が詰まって最高です。次々に焼け上がるので、箸と口を動かすのに忙しくなってきました。アジは、白身がふわふわしておいしい!アジ大好物なんです。イカもかなり大きく、こんがり焼けた表面はカリカリして、中味は適度に軟らかくて、食べごたえ十分。お祭りの屋台で食べる、やたら硬いイカとは全然違います。
 ご飯をおかわりした上に、魚は背骨と頭だけを残し、跡形もなくきれいに食べてしまいました。
「これだけきれいに食べられたら、魚も本望でしょう。猫もびっくりですね」と、橋口さんからありがたいお褒めの言葉。
 食後にふわふわの生クリームをつけたスイカと、こっぱもちをいただきました。こっぱもちは、どこか懐かしい素朴なお餅で、あんこがたっぷり入っています。
 このボリュームに、大食漢の私もかなり満腹になりました。

山田さん:このシーフードバーベキューは、普通だと4,500円くらいの値段はするのでかなりお得ですよ。別料金で伊勢エビやアワビなども追加注文できるので、遠慮なく申し出てください。

 ええ、リッチな時に来たら、伊勢エビでもなんでも食べまくりますとも!!
 食事の間も、山田さんと橋口さんは、牛深の魚の新鮮さ・おいしさを繰り返し強調し、南国ののどかな漁業の町で、人々は素朴で、女性にはふくよかな方が多いこと、などなどとても楽しそうに話していました。お二人とも、本当に牛深を愛してらっしゃるんだな、としみじみ感じました。

 グルメが終わったら、海彩館のほかの施設もまわってみることに。
 ハイヤ節のルーツの元祖といわれる、牛深ハイヤ節(踊り)関連の映像や資料の展示、体験実習などができるハイヤ道場。かつお船正確復元船をはじめとして、漁法、漁師の生活などを紹介している漁業の歴史資料館。
 牛深の観光名所、年中行事などを映像やパネル、写真などがある牛深紹介コーナー。もちろん海産物販売店もあります。
 牛深に来たら、まずはここで予備知識をつけて、さらに自らの舌で極上の海産物の味を知るのがオススメです。

●お問い合せ
うしぶか海彩館
牛深市牛深町2286-116
TEL(09697)3-3818
開館時間:展示室9:00〜18:00、レストラン10:00〜21:00。
定休日:第3火曜日。
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