マリンレジャー満喫!天草西海岸 ほんもののエメラルドグリーンの海が待ってる


 国民宿舎でぐっすり休んだ後、朝食を取り、2日目のスタートです。国道389号線を1kmほど北に進み、下田温泉街からすぐの下田港へ。漁船がたくさん停泊している港に、一隻のクルーザーが入ってきました。今日は豪華に西海岸のクルージングです。
 天草町一帯の西海岸は、名勝天然記念物にも指定された代表的な景勝地。岸辺には、荒波に浸食された奇岩や洞門などが連なり、男性的な印象を受けます。海水の透明度も抜群で、自然が作りだす鮮やかなマリンブルーの海の下に、岩の形がはっきり見えます。この壮大な美しい海を、海上から観賞できるクルージングは、まさに最高の娯楽と言えますね。

 今日のクルージングの旅、案内役兼運転手は山本さんです。スマートな愛船「HARU2号」に乗って颯爽と登場。HARUは奥さんの名前だそうです。
 平成9年に購入したばかりで、まだ新品の豪華クルーザーはなんと1千万円!!クルージングの所要時間は約1時間。その間は完全貸し切りなので、要望に応じてあちこち連れていってもらえます。人数は11名までで、1万円で貸し切られます。うーん、お得。発着は、下田港、高浜港、大江港のどれか選択できます。搭乗者保険も付いており、万が一の事があっても安心です。トイレ付きなので、催したときも大丈夫。
 さて、山本さんに手渡された救命具をつけて、いざ出発です。スピード感満点で、スリルいっぱいなんだろうなぁと、わくわくしながら、クルーザーにしがみつきました。

 下田港を出て、ぐんぐんスピードを出してクルーザーを操る山本さんに、尋ねてみました。

〜いつもどういうコースを進むんですか?〜

山本さん:そうだねぇ、大ヶ瀬、小ヶ瀬をまわって、それから海岸沿いに白鶴浜とか天然記念物の妙見浦とか十三仏をたどって戻るコースになるかね。たまに、河浦の羊角湾のほうまで足を伸ばすこともあるよ。

おお、河浦町といったら、隣町じゃないですか。ずいぶんと遠出してくれますね〜。それにしても山本さん、クルーザーを運転するのがうれしくてたまらない、といった感じで舵を取られています。

山本さん:今日は満潮でしかも凪、クルージングには最良のコンディションだよ。さて、まずスピードに乗って一気に大ヶ瀬に行くよ。帽子はかぶっちゃだめだからな。

 そしていきなりエンジンの音が高速化し、クルーザーがスピードを上げます。波を激しく打ち付け、風の抵抗で船体が揺れはじめます。
 ひええ、すごい速さ、すごい風圧。耳元ではヒューヒューと風が鳴り、髪はぐちゃぐちゃに乱れ、潮風をたっぷり浴びて肌はべたべたです。吹き飛ばされないようにしっかりつかまろうと、船体をつかむ手に力が入ります。
 10分ほどすると、海上からにゅっと顔を出した巨大な岩が見えてきました。波が岸壁を激しく洗い、岩に当たって砕け散ります。
 ここが大ヶ瀬です。岸から見るのとは、けた違いの大きさです。干潮時なら、大ヶ瀬付近の浅瀬にいるテーブルサンゴが観賞できるそうですが、今は海中にぼんやり白っぽく形を見せるだけです。サンゴが生息するだけあり、海水の透明度はかなり高いので、海の深いところまで船上から確認できます。

山本さん:岩のところどころ白くなっているところは、鳥のフンだよ。またここは瀬渡し漁のメッカで、小さな岩の上で5時間くらい漁をする人もいるよ。

 こんな孤島で、5時間もですか・・・私なら、岸から遠いこともあって、心細くなりそう。 そして特別に、大きな二つの岩の間を通り抜けてくれました。岸から遠目で見ているのと、岩の裏側から見た大ヶ瀬はまた違う顔を持っています。

 次は、大ヶ瀬と並んで町の天然記念物に指定されている小ヶ瀬へ。ここも透明度は抜群。波はかなり高めです。

山本さん:この辺でだいたい水深23m。魚が濃いからアジ漁やイッサキ漁、荒磯釣りなどがさかんで、漁師たちは場所取りに必死になるんだよ。またスキューバダイビングスポットとしても人気があるよ。そういえば、平成3年の台風17号が上陸したときは、小ヶ瀬が一瞬で大波に飲まれたなぁ。あれはすごかった。

 この大岩が一瞬にして・・・波は一体何メートルの高さだったんだろう。自然の力って恐ろしい。
 二つの瀬を見た後に船はUターンし、今度は海岸線に沿って進みます。岸から安全な距離を保ちつつ、ゆっくりと船を動かします。
 すると山本さんに手招きされ、突然「運転タイム!」と言われて舵を任されました。ええーっ、運転の体験があるなんて聞いてないよぉ。慎重に、慎重に舵を取り、山本さんの指導に神経を集中させます。岸につっこんだらどうしよう、岩礁に乗り上げたらどうしよう、とビクビクしながらノロノロ運転です。怖い、心許ない・・・我ながら小心者。
 ほんの3分ほどでバトンタッチします。ホッとしたとたんに、もうちょっとやってみたかったような?ほっとしたついでに、最高速度はどれくらいですか、と何気なく問うと、

山本さん:最高で36ノット(72km/時)も出るんだよ。やってみようか?運転席に入って、しっかり掴まってるんだぞ。

 山本さんは実にうれしそうに笑い、エンジンを思いっきり吹かしはじめました。あわてて運転席に入り、窓枠にしがみつく私。クルーザーはエンジンを高速回転させ、それまで以上にすごい勢いで走ります。風を切って猛スピードで海岸沿いをひた走り、それでも「まだまだスピード出るぞ〜」とぐんぐん軽快に飛ばす山本さん。
 ちょっとだけ外に出てみると・・・ひええ〜怖い。振り落とされそう。髪なんて風に乱れまくって、しっかり目も開けられない状態です。
 山本さんが何か言ってる・・・けど、風とエンジンと波の音で聞こえない・・・。体が触れる距離くらいまで近づいてやっと聞き取れました。

山本さん:長崎県の茂木港まで50分、三角港までたったの1時間で着くんだ。この前は、天草から熊本まで行く”高速船マリンビュー”も追い越したんだ。このスピードにも徐々に慣れて、もっともっと早くしてくれ、と要求するお客さんもいるよ。

 勝ち誇った表情で愛船を自慢する山本さん、少年のような輝いた目をしています。相当、自信があるみたいですね〜。お客さんの要望にばっちり応えられ、サービス精神旺盛な方です。このとき速度計の針は、既に36ノットを指していました。
 そうこうしている間に、右手の岸に美しいアーチ型のビーチが見えてきました。天然白砂ビーチの白鶴浜海水浴場です。鶴が大きく羽を広げた形に似ているところから命名されたこの海水浴場は、熊本県で唯一「日本の水浴場55選」に選ばれたほどの透明度を誇ります。沖の方でも水深4mほどの浅瀬が続き、家族連れでも安全。海水浴、ボディーボード、サーフィンなどがさかんだそうです。この日は、ビーチフットボール大会が開催されていました。

 しばらくすると今度は、岬が出っ張っている険しい地形に到着しました。ここで山本さんはエンジンをゆるめて、ゆっくりと近づきます。潮の香りが海からぷんぷんと匂ってきます。エメラルドグリーンの透明な海水、青々と生い繁った自然、狭い浜と、あまり観光客が足を踏み入れた様子はなさそうです。
 また巨大な岩が、今度は岸辺にいくつも連なっています。波や風で削られたらしく、ぽっかりと洞窟が空いています。ここが十三仏崎です。この上の道路沿いには、十三仏公園があります。よくよく目を凝らすと、岩の上には何やら小さな祠があります。これは亀蛇(ガメ)を祀ったもので、八代市の妙見祭の由来にもなったそうです。

 山本さんが、洞窟の中に舳先だけ突っ込みます。完全に岩を貫通している洞窟もあれば、そうでないものもあります。舳先に身を乗り出し、洞窟の中をのぞき込んでいると、まるで無人島の探検隊員になった気分です。

山本さん:ここはダイビングスポットでもあるんだけど、ダイバーたちが洞窟内に潜って、サザエを乱獲するんだよ。おかげでサザエは減少するし、中には浜にはゴミを散らかして行く不届き者もおる。

 温厚な山本さんが、この時ばかりは怒りを露わにしていたのが印象的です。自然は大切に、マナーを守って遊んでほしいですね。
 すぐそばに、頂点がぺったんこで、30度ほど傾いている奇妙な岩がありました。これは”ばくち瀬”といって、ばくちが御法度だった時代に、漁師たちがこの岩の上でばくちをしていたそうです。こんな岩の上で、お金を賭けて真剣勝負をしている図を思い浮かべたら、なんだかおもしろいですね。勝負に熱中して、落ちたりしなかったのでしょうか。
 港を出てもうすぐ1時間。早いもので、時間の経過を忘れてしまいます。とうとう右手の方に、昨日泊まった国民宿舎が見えてきました。「恐し瀬」という、途中までしか登れない”おそろしか”瀬を通り越し、船はゆっくり下田港に入っていきます。ああ、もう終わりかぁ。名残惜しいなぁ。もっともっと乗っていたかった。

 クルーザーを接岸し、船から岸に飛び乗ったら、急に体が軽く感じました。最後に山本さんにいろいろと情報をいただきました。
 真夏のクルージングは暑すぎて大変だけど、春や秋はちょうどいい気候なのでオススメです。時間帯では、特に日の出や日没が最高です。しけなど天候不良の日以外は、毎日運行しています。クルーザーでは、釣りはやっていないのでご注意を。
 山本さんは、地元の観光関係に携わっておられるだけあって、案内が詳しくておもしろかったです。スピード感と大パノラマの景色、そしてクルーザーの運転の体験と、終始興奮しっぱなしでした。

●お問い合せ
天草西海岸クルージング
お問い合せ:山本精肉店 山本親重郎
天草郡天草町高浜乙第627-1
TEL(0969)42-0068

インデックスページに戻る


 copyright since 1995 AD SCCAT SYSTEMS 白木メディア株式会社