マリンレジャー満喫!天草西海岸 ほんもののエメラルドグリーンの海が待ってる


 クルージングの興奮も冷めやらぬうちに、そのまま国道389号線を北上し、イルカウオッチング体験のために、五和町まで。大きな橋の手前、五和町観光協会の事務所がある港が発着所です。
 ここ五和町は、昔から冷たい東シナ海と暖かい天草灘の水が流れ込む潮目で、漁場が広く浅瀬なので小魚が豊富に捕れるところです。天然アワビの養殖やウニ漁もさかんです。この豊富な海産物を食料にしているのは、私たち人間だけでなく、野生のバンドウイルカもそうです。温暖な気候の通詞島周辺は、小アジやイカなどのエサが豊富で、サメなどに襲われることもなく、300頭ほどのバンドウイルカが生息しています。大きいのは300kgもあり、自分の体重の10分の1も食べる食いしん坊。アジ、コノシロ、ボラ、トビウオ、イカなどをエサにしています。好奇心が強くて人なつっこく、顔が丸いのが特徴です。
 バンドウイルカは、水深15m、港から500mの距離、陸から1km以内の範囲に生息し、目印の二つの灯台の間でよく見られます。このイルカたちを一目見ようと、イルカウオッチングがさかんです。一年中、99%の確率で見られますが、お客さんが多いのはやはり連休や夏休みだそうです。
 昔からここ五和は、野生のイルカを脅かすことなく、漁民とうまく共存してきました。このことを踏まえ、五和町は「自然と共存する町」として、クリーンな新エネルギーである「風力発電」にも取り組んでいるそうです。

 発着所には漁船がいくつか泊まっており、オレンジ色の救命具を身につけている人が既にたくさんいます。ここにいる人たちはみな、イルカウオッチングに行くみたいです。漁船は、停まっているときはけっこう揺れるので、酔わないかなぁとちょっと心配。おそるおそる漁船に乗り込みます。
 今日のイルカウオッチング案内は、田口さんとイルカ博士の木口さん。マンツーマンで案内してくださいました。さっそくインタビュー開始。

〜イルカの位置はどうやってわかるんですか?〜

木口さん:潮の満ち引きと、旧暦の時間を参考にして予測するんだよ。探知機は使わないで、長年のカンでイルカを探すんだ。わしは5年かけてイルカの位置を予測するのに成功したんじゃ。約300頭のイルカたちは、朝は東の鬼池沖(五和町)、昼は通詞島(五和町)で群で行動し、夕方には西の富岡沖(苓北町)に移動し、バラバラに行動するというのが毎日のパターンだよ。

 うーむすごい、さすがイルカ博士ですね。自作のイルカ予測図を見せながら説明してくれる木口さん。木口さんの祖父の時代からイルカがいた、と言い伝えられているそうです。
 さて、漁船はエンジン音をたて、一直線にイルカがいる予測地域に向かいます。たくさんの漁船もいっせいに同じ方向を目指します。

 沖の方まで来ると、船がぴたりと停まり、波にまかせてゆらゆらしています。みな息を潜めて、じーっと海上を見つめます。すると、波の間にイルカのつるつるした頭がちらっと見えました!「あっ、あそこにいる!!」思わず叫んでしまうほどの感動です。ほかの船もそれを見つけて、いっせいにイルカの群を追いかけます。
 イルカは息をするためときおり頭を出し、群になってすいすいと泳いでいます。100mを10秒で泳ぐ速度で、船の下に潜ったり顔を出したりと、神出鬼没なイルカたちです。お客さんたちは、きょろきょろしてイルカの影を探さなければなりません。みな熱心にカメラのシャッターを切り続けます。

田口さん:イルカは、海の底の方からエサの小魚を水面まで追いまわし、そこで食べます。ですから、水深が20〜25mなど深すぎる所ではイルカは漁はしません。7〜10mの深さから魚を追うんですよ。

〜イルカがよく見られる時は、どういう状態なんですか?〜

木口さん:イルカは気まぐれだからなぁ、その時の乗り合わせと、深さのポイントと、満干の関係、エサを食べている時、あとは機嫌でイルカのサービスの善し悪しがあるんだよ。

 天然のイルカたちは、特別に訓練されているわけでもなく、ただそこに”生活”しているだけです。自然の姿が一番、ということでしょうね。
 ここでイルカの豆知識を。
 イルカは5才で性的に成熟し、寿命は25年から30年。六つの方向に自由に泳ぐことができる秘密は、イルカの体が水中での動作に最も抵抗の少ない流線型をしているからです。また、厚い弾力的な上皮が水流の乱れを防ぎ、水は渦を巻くことなくイルカの横を通り抜けるので、すいすいと泳げるのです。

 そこかしこにイルカの群が現れるようになりました。遊んでいるのか、エサを食べているのか、単なるお散歩か、イルカにしかわかりません。黒くてぬめぬめした質感の皮膚が、日の光を反射しているのがすぐ近くでも見られます。手を伸ばせば届くくらいの距離に接近することもしばしば。イルカをこんなに間近で見られるのは五和だけだそうです。漁船のエンジン音を聞くと近寄ってくるほど。なついてますね〜。

木口さん:重油やディーゼルエンジンなどの漁船の音には慣れっこだよ。ただ、クルーザーとかのガソリンで走る船の高速エンジンの金属音は、慣れていないから敏感になりやすいんだ

 ところで、この海域でのイルカウオッチングや漁にはいくつかの掟があるそうです。イルカに餌を与えない、交尾・出産を妨げない、併走して観察する、手を触れない、群れに30m以上近付かない、群れから50m以内に接近するときは減速する、など。イルカが漁師の漁を助けるといった外国の話もあるくらいです。
 賢いイルカは人間の良きパートナーにもなりえるのですね。共存するためには、お互いマナーが必要ですよね。

木口さん:いいコースだと、船の真横にイルカが顔を出して、併走して泳ぐこともあるんだよ。わしらの漁船にずーっとついて来るんだよ。

 おお!すごいパフォーマンスですね。ぜひ見てみたいなぁ。
 ところでイルカの出産時期は5月、ちょうど子供イルカが母親にぴったり寄りそって泳いでいるのをたくさん見ました。これが、とってもかわいいんです!

 船上にいること、約80分。かなりの数のイルカを見ました。すると突然、少し離れたところで、数匹のイルカがジャンプ!流線型のボディが美しい。「見た?見た?!」と、偶然発見した人たちは大興奮。私もたまたま見れてラッキーでした。

木口さん:ジャンプするのは、上機嫌なのかもしれないなぁ。だいたい大潮の4日間、二つの灯台の付近でジャンプするのをよく見るよ。夕日が沈む30分前が一番確率が高いかな。

 今回のジャンプは、腹を見せて横に倒れ込むようなジャンプで、魚に「逃げるな!」と脅しの音を立てているのだとか。本当のジャンプは、訓練されたイルカのように、真上に垂直にジャンプするそうです。み、見てみたい〜。
 ここでも船酔いする余裕もなく、「あそこにいる!」「ここにも!」とイルカを見つけては叫びまくった80分でした。

●お問い合せ
イルカマリンワールド
天草郡五和町二江1477-18 TEL(0969)33-1633
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