■久木野そば研修センター
12月のある晴れた日。俵山を越えて久木野村にやってきた。今回の取材のメインは、ここ「久木野そば研修センター」でのそば打ち体験。何しろ初めてのことなので、緊張する。果たしてうまくそばを打てるのか…。
 館内に入ってみると、お土産コーナーの奥に、そば打ち道具一式が飾られているのが目についた。こね鉢、伸ばし棒、きり板、そば切り包丁。どれも本格的で、びびっておよび腰になりそう。でも、日本の道具の造形美というか、生活感あふれるその魅力的な形を見ていると、使ってみたくなる。
 指導員の原田さん(写真左)と、まずは材料をこねる。材料は、そば粉360g(4食分)、つなぎにすりおろし山いも50g、水200g。そばは、すぐ近くの畑でとれた地そばだ。新鮮なそばのいい香りがして、思わず鼻の穴が広がってしまう。つなぎに山いもを使うのが、ここの特徴だそうだ。
最初はパサパサしている材料も、原田さんの長年のカンから水を小分けにして注いでもらいながら、一生懸命にこねるほどやわらかくなっていく。「丸い玉のようにこねて」と言われたが力加減が難しく、すぐにつぶれてしまう。私って、実はがさつ?仕上がりの弾力性も手のカンに頼るという。人間の感覚ってすごい。
 次は伸ばし板に取り粉を引いて、手首の力を使って押し出すように、3段階に伸ばしていく作業。まずは原田さんにお手本を見せてもらう。おーっ、さすがに手慣れてます。「私の分もつくって」って、それじゃ意味ないか。
 今度は私が伸ばしてみる。巻き付けて、手首で押し出すように伸ばす。初めて絵をかいた5才児のように原田さんをうかがうと、上手だと誉めてくれた。もしかして才能が…。それを、縦方向と横方向に何度も繰り返す。だんだん円形のひらべったい取り粉になっていく。つまんで巻き付けようとすると、剥がれそうなくらい薄くなった。だいたい2ミリくらいの厚さになったところで、伸ばす作業は終わりだ。
 最後に、そば切りをする。切る前に、円形の取り粉を正方形に形を整えなくてはならない。「どうして正方形だと思う?」と原田さんが子供に問いかけるように私の方を見て言われた。ちょっと考えてわたしが答えると、正解と言って笑われた。
ここにそば作りに来る子供たちにも同じ質問をされるそうだ。とりあえず、子どもには負けてないか。みなさんは、どうしてか解りますか?
答えは、そばの長さを均等にするためでした。
伸ばしたものを折りたたんで、ズシリと思いそば切り包丁で細く切っていく。以前うどんを切った時、あまりに太く切りすぎてきしめんのようになった苦い思い出があるので、今回は失敗しないように、全神経を集中する。
 切ったそばを調理してもらったもの。かけとなみの両方を作ってもらう。めんの太さが不揃いなのに苦笑いしていると、原田さんは「これこそ手作りの醍醐味よ」とフォローしてくださった。やさしいなあ。漬け物もお茶も米も、地元直産なのがうれしい。そう、これは久木野村づくしスペシャルメニューなのだ。おいしくてあたりまえだと、妙に自信がついてきた。
 青空をバックにそびえる阿蘇山を眺めながら、そばを食べる。う、うまい。そばの歯ごたえ・香りとつゆのシンプルな味との絶妙なバランスがうみだす味を舌で味わうとともに、そののどごしの感触がたまらない。きて良かったなあ。そばは栄養価も高く消化も早いので、すっとおなかに入っていく。あっという間に2食分も食べてしまった。
 そば研修センターには、地元の味がぎっしりつまったお土産コーナーもある。ここで私はおもしろいものを発見した。
何と、そばアイスクリームがある!そばをアイスにしちゃうんですか?よく見ると、そば粉のツブツブが入っている。「甘いものは別腹」と自分を納得させ、さっそく試食。ふむふむ、そんなに甘くもなく食べやすい。そばのさわやかな香りとバニラエッセンスが、透明感のある香りを醸し出している。きっとこのアイスも地元の牛乳で作ったんだろうな。
 
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