おすすめ接待の店 くまもとの一流和食を味わう


水前寺公園からほど近い場所に、「旬膳 羅生門」はあります。緑が生い茂る庭には湧水の池があり、竹の樋から流れ落ちる水の音が実に涼しげで、苔むした岩肌にぽたぽたと水滴がつたい、次々と水面に波紋を作ります。まさに「水の風景」といった感じです。

「十数年前は、まだ郊外とは言わなくても、市内中心部以外に和食の店が出ていくことは稀でした。しかし、ぜひお客さまにこの湧水と庭を見ていただきたく、季節感を感じられる場所を求めてここに店を構えました。庭を自然のままに、壊さず、あまり創らずに持ち続けることに配慮しています」とは、若女将の上村さん。

玄関をくぐると、大きないけすが目に飛び込んできます。さらに部屋の隅にもちょろちょろと水が流れ、たいへん涼しげです。愛らしい達磨や龍の置物、可憐な季節の花など、インテリアもさりげなく演出してあります。

上村さん:「四季に応じて店内を演出するのが好きなんです。これからの季節だと、ススキを店内に飾って季節感を出し、お客さまの目を楽しませたいですね」

部屋は純和風の個室と、庭に面したテーブル席があります。人気のあるテーブル席は、壁が一面ガラス張りになっていて、庭園がよく見えます。

上村さん:「お客さまにあまり高い店のイメージを持っていただかないように、またリーズナブルな居酒屋的なイメージでもなく、その中間でお客さまに気軽に足を運んでいただけるような店作りを目指しています。ご利用はご家族連れが多く、結納から七五三まで一貫して来られる方もいらっしゃいます」

こちらはお手軽なランチが主婦層に大人気だということで、おひるの懐石(3,000円)をいただきます。懐石は抹茶をおいしくいただくための料理です。こちら羅生門では、月替わりでメニューを変更するので、いつでも旬の味が味わえます。個室に通され、一品一品ずつ出してもらいます。

<今日のメニュー>

  • 小鉢:トマト豆腐
  • 焼八寸(前菜に焼き物が載っているもの):白身魚の酢漬けや銀だらの西京焼き
  • しのぎ(ちょっと箸休め、食事に間を空ける):茶そば
  • お刺身:きはだマグロ、鯛
  • 蓋もの:ナス・ひろうず・冬瓜・カボチャの炊き合わせ
  • 揚げ物:エビ・シシトウ・キス・かぼちゃの天ぷら
  • 酢の物:冷しゃぶ
  • ごはん:ちりめんご飯
  • 吸い物:ワカメとタケノコの吸い物
  • 香の物:お付けもの(高菜もあり)
  • デザート:抹茶と和菓子

かぼちゃやレモンの黄、ほおずきの赤、器の緑、ご飯の白、和菓子のピンクと、たいへん色鮮やかな懐石です。

また、もう少しリーズナブルな料理なら、おひるごはん(月)1,800円、(花)1,200円もあります。これは、先付け、お向、汁碗、焼き物、煮物、ご飯の組み合わせです。

上村さん:「料理はできるだけ地元の旬の素材にこだわって、おいしいものを心がけていこうと思います。熊本の素材と旬に興味を持って、おいしい材料をおいしく演出して、お客さまに提供することにこだわっています」

また、自ら仕入れをされる常務に、秋口の料理について話を伺いました。

常務:「9月位だと海の素材は魚の方は少し少ない時期ですが、その中でも8月20日に解禁になる伊勢エビは一年中で一番漁獲が多く、安く提供できる時期です。また秋ハモを使った土瓶蒸し、ハモすき、ハモちりなどもおすすめですし、川辺川の獲れた時にだけ送っていただける天然の落鮎も9月半ばごろまでのおすすめです」

食材に興味を持ち、独学で料理を勉強されたという常務。自ら水槽車を運転して天草へ行かれ、市場ではなく直接地元の漁協さんから魚介類を仕入れるそうです。他にも、矢部町まで行って知り合いの農家から山の幸を買ったり、人吉の鮎を、これまた地元の方から送ってもらったりと、その熱意には頭が下がります。「その日の分を、その日の朝に仕入れる」がモットーで、全て天然ものだそうです。

常務:「熊本には、趣味で魚を釣ったり山菜を獲ったりする地元の方がたくさんいます。ですからメニューはあくまで生産者まかせです。その日の仕入れ具合によっては変更もありえますし、いいものがあったらすぐに取り入れます。仕入れた魚を篭に盛って、客席のお客さんにお見せすることもあるんですよ」

目を輝かせて話される常務、かなりの行動派のようです。魚を見せるパフォーマンスや店内のディスプレイなど、とにかくお客さんを楽しませようとする心意気に胸を打たれました。

〜熊本の食文化についてどう思われますか?〜

常務:「すばらしい材料に恵まれすぎて、それを地元でいかに使うかをあまり考えてないように思います。本に書いてある旬は本当の熊本の旬とは言えないものだったり・・・。今後、九州新幹線が出来て、ますます九州が小さな地域となっていく時に、もっと熊本の特色のある料理を使っていくことが、料理屋の仕事だと思います。馬刺、蓮根、一文字のぐるぐるなどはこれからの時代にも残していかなければならないもの。食文化は私たちが作って広めて継承していくものだと考えます」

今回いただくのはおひるの懐石で、特別にテーブル席でいただきます。緑映え水の滴る庭園を眺めながら、優雅にお食事です。

小鉢のトマト豆腐は、さっぱりした酸味がくせになりそう。焼き物の銀だらの西京焼きは、隠し味を加えた西京味噌につけ込んだ魚を焼いたもの。脂が乗った白身に甘めの味噌が染み込んで、非常に美味です。しのぎの茶そばも喉ごしがよく、するするっとお腹に入っていきます。そして、なんと言っても、天草の漁協から直接仕入れたというお刺身。氷の上に盛ってありよく冷えた身を口に運ぶと、はじめはひんやり、そしてとろりと口の中に溶ける食感がたまりません。常務のこだわりなくしては、この極上の刺身はいただけません。

常務:「地味な料理にも、すべて手間をかけ、お刺身は魚の仕入れにも妥協しませんので、甘みと歯ごたえはどこにも負けませんよ」

天ぷらも冷しゃぶもご飯も吸い物もおいしく食べた後は、懐石ならではの抹茶と和菓子をいただきます。これで後味もすっきり。

〜羅生門さんならではのオリジナリティはどのようなものでしょうか?〜

常務:「やはり、自然の水(湧水)と庭だと思います。今から作ろうと思っても作れるものではありません。また、天草やその他の地元へ店主自らが出向いて仕入れる食材へのこだわりです。それらをいかに熊本らしく調理するかを常に追求しています」

若女将の上村さん:「5月の新緑はとてもまぶしく、さわやかで大好きです。3月のしだれ梅や、秋の真っ赤に燃える紅葉もいいですよ」

四季折々の自然の美しさを見ながらのお食事を、一度体験してみませんか。

旬膳 羅生門
熊本市水前寺公園12-25 TEL(096)385-3333
営業時間:11:30〜14:00、17:00〜21:30。定休日:第3水曜日。
料金(サービス料、部屋代なし):おひるごはん1,200円〜、おひるの懐石3,000円、夕ごはん2,500円〜、会席料理5,000円〜、精進料理7,000円〜、旬膳料理8,000円〜。

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