インタビュー2
さて次は、勤務17年、自他共に認める「優良ドライバー」の堀さんの登場です。
ハンドルレバーを持つ姿も決まってます。それでは、現役バリバリの運転手さんに聞いた現場の生の声をお届けいたします。
〜さっそくですが、運転中の痛恨のエピソードを教えて下さい〜
堀さん:「そうだね、車や人間や動物が軌道内に入ってきて、ヒヤッとすることはしょっちゅうだよ。特に車が右折しようとして線路を二つまたぐ格好で停まられて、両方向とも通行できなくなったこともあったよ」
私、今日この場で洗いざらい白状します。車で立ち往生した経験、あります。ひええ〜ごめんなさい、もうしません。運転歴は長い私ですが、いまだに線路を横切って右折するときはドキドキします。
〜うれしかったことは?〜
堀さん:「やっぱり、お客さんの「ありがとうございました」「お疲れさまです」の言葉が一番うれしいね」
路面電車の本場・ヨーロッパはたいてい駅や乗車口に改札口が設置されているそうですが、日本の場合は、直接運転手さんから乗車カードを購入したり、大きな札を両替してもらうことがあります。運転、販売、アナウンスと一人で何役もこなしている運転手さんに感謝の意を込めて、「おつかれさまです」と言いましょう。
〜印象深いお客さんはいますか?〜
堀さん:「ただ乗りするお客さん、でしょうね。運賃を払うとき手元が怪しいなと思ったら、一言声をかけます。するとあっさりばれちゃいます。
だいたい定期切れとか、わざと100円を両替して10円硬貨の数でごまかそうとしたりするんですよ。あとは、話好きのお客さんが運転席の真後ろに座って、あれこれ話しかけてくる時ですね。一緒に話し込むと他のお客さんから「無駄話が多い」と苦情を言われ、答えないとそのお客さんから「無視された」と不満を言われる・・・。適当にあしらうのが一番ですが、大変ですよ。年末や花見などの宴会シーズンは、一升瓶を持ったまま乗り込んでくる酔っぱらい客もいて、これまたぐっすり眠って起きないんですよ。そういうお客さんは、私たちがいったん電車から降ろして安全な場所に運んで、酔って軌道内に入ってこないか確認しながら運転するんですよ」
ただ乗り、話好き、酔っぱらいと、運転手さんはいろんな人に目配り気配りをしなくちゃならないんですね。しかし一升瓶抱えて電車に乗る奴がいるかあ?
堀さん:「あと、県外からの熱烈な電車マニアにも会いましたよ。彼らは路線を完璧に覚えていて、電車の型やモーター音に至るまで熟知しているんですよ。熱く語ってましたねぇ。私よりもずっと詳しいんじゃないですか」
おそるべし、市電マニア。
お客さんから寄せられる最も多い苦情は?
堀さん:「注意を喚起するための警笛を「鳴らしすぎる」と言われちゃうんですよ。自転車や歩行者が車の間をぬって軌道内を横断しようとするので、こちらは内心ひやひやしながら鳴らしているんですけどね」
一度聞いたらなんとなく耳に残る”プァーン”という独特の警笛、個人的にはかなり愛着持ってます。自家用車を運転していてもその音で市電が来たことが分かるから、いいと思うんだけどなあ。
市電の運転手に、一番求められることは?
堀さん:「思いやりと忍耐です」
ホント、お話を伺うかぎり、その言葉に尽きますね。これからも珍客や珍事件に遭遇すると思いますが、その笑顔で頑張って下さい。ありがとうございました。 |