
熊本市から国道443号線を通って、1時間。泉村に入ってすぐ、広大なスペースに近代的な建物が建っていました。周囲は山々に囲まれ、とてものどかです。これが観光インフォメーション、物産館、コミュニティースペースを兼ねた「ふれあいセンターいずみ」です。泉村に観光に来たらまずここに来て、村内の旬の情報を仕入れましょう。
広すぎてどこから見たらいいのかわからないよ〜。そこで館長の幸山さんに案内役をお願いすると、まあくつろいで下さいと囲炉裏に通されました。壁には泉村の地図やイベントのポスターが貼ってあり、棚には観光パンフレットや山のアウトドアに関する書籍などがたくさん置いてあります。囲炉裏を挟み、ほのぼのとした雰囲気でインタビューをはじめます。
〜ふれあいセンターの目的は?〜
幸山さん:「五家荘の自然・歴史・文化の予習の場と同時に、泉村からの情報発信地として建てられました。都市の人々と交流し、自然に対する啓蒙活動を働きかけ、お客さまに五感をいっぱい使った体験をしてもらうのが目的です。いまは第3水曜日・土曜日に、伐採から枝切り、作業土づくりなど、山仕事を全て体験できる炭焼き体験道場を開いています。自分で育てたシイタケを焼いて食べたりしてますよ。それから、地元の良質のお茶を知ってもらうのも目的の一つです」
〜人気の時期は?〜
幸山さん:「春は登山客、夏は家族連れでキャンプ、秋は紅葉狩りとだいたい一年中にぎわいますね。でも私としては冬が穴場でオススメなんですよ。タイヤにチェーンが必要ですが、雪が積もっていかにも秘境の雰囲気につつまれます。村内の宿泊所は民宿風でこじんまりしているところがほとんどで、都会から離れてのんびり過ごすには最適の懐の広いエリアだと思います。それと、最近登山ブームなので、登山者専用のマップも用意しています。泉村の山と谷には全部名前が付いているので参考にしてして下さい」
幸山さんの、泉村の自然が好きで好きでたまらないといった笑顔と話しぶりに、思わず引き込まれてしまいます。もともとここの出身ではなく、自然を求めて家族で引っ越されてきたそうで、泉村に対する思い入れの深さがひしひしと伝わってきます。
座布団の上とはいえ、そろそろ足がしびれてきたぞ・・・情けない。次に幸山さんは、日本茶と中国茶をおいしく楽しむための体験喫茶コーナー「茶藝館」に案内してくれました。茶室をイメージした部屋で、美味しいお茶の入れ方を体験することができます。
熊本県は玉禄茶の生産高日本一で、また古来中国大陸から伝えられた「釜入り茶」の産地でもあります。山と谷に囲まれた高原で、霧が発生し日光を遮断するという風土、気候、地形の条件が整っており、昔からお茶が自生していたそうです。カテキン、ビタミンを豊富に含んでおり、酔いや眠気醒まし、消化不良解消、抗菌.消臭作用の効果があります。いまやブランドとして人気のお茶です。
幸山さん:「お茶はなかなか深いもので、栽培の仕方、蒸しの強さ、深さによる仕上げ、お湯の温度による入れ方によって、お茶の味は全然違ってくるんです。どれがいいかは一概に言えません。お茶は結局嗜好品なので、人の好みによりますからね。ところで、お茶の木は一つしかないことはご存じでしたか?発酵させず、摘んだらすぐ処理するのが緑茶で、半発酵させるのがウーロン茶、完全に発酵したものが紅茶なんですよ」
ええっ、そうだったんですか!?私はてっきり紅茶の木、緑茶の木ってあるものだと・・・。だからウーロン茶の木は中国にしかないと思っていました。もっと勉強しなくちゃなー。
幸山さんが奥の方でお茶の準備をしてくださっている間、泉茶に関するパンフレットを読みます。
ひとつが「釜炒り茶」で、生葉を熱した釜で炒り揉んで時間をかけて乾燥させます。茶葉はよじれて濃緑色。もうひとつが「蒸製玉緑茶」で、煎茶を作るときに茶葉をまっすぐに整えながら乾燥させるのではなく、乾燥中の茶葉同志の摩擦圧迫によって仕上げます。茶葉は細くよれて、鮮やかな緑色です。
幸山さんが二種類のお茶セットを運んできてくれました。まずは「釜炒り茶」から。きゅうすに熱めのお湯を注ぎ、30秒〜1分待ちます。時間がないときは、きゅうすをゆっくり振って味を出しても構いません。泉村の人たちはこの間に、よもやま話に花を咲かせているそうです。 湯飲みにお茶を注ぐと、鮮やかな緑色をしており、香りも上品です。 「最後の一滴が一番エキスが出ていておいしいんですよ」と幸山さん。注いだあと、きゅうすのフタを開けて茶が蒸されるのを防ぎます。お茶は渋み、苦みがなく、独特の甘く香ばしいスッキリした味です。肩肘張らず手軽に入れられる、「飲むお茶」といえます。
次に「蒸製玉緑茶」の入れ方。お湯を湯冷ましに注いでさますのが特徴です。きゅうすから注がれるお茶はやや色が濃いめで、新鮮で爽やかな香りがただよいます。味は甘くやわらかい口当たりで、ふんわり口の中に広がります。
ゆったり時間をとって入れる「喫するお茶」ですね。TPOに合わせて飲み分けるといいかもしれません。日頃から飲み慣れている緑茶も、ちょっとした工夫でさらにおいしくなりますね。さっそく家に帰って試してみようっと。今回は省略しましたが、本当は水へのこだわりから湧かし方、茶器の温め方、茶葉の量などにも伝授してくれるそうです。夏は、お手軽で香りも逃げない冷茶の出し方を指導してくれます。
それにしても、地元の方が作られたお茶うけのヨモギだんごがまたおいしいんです〜。皮はヨモギ90パーセントで、新鮮なあんこが粒ぎっしり。甘さ控えめで私好みの味です。
幸山さん:「泉村には昔から、日常のリフレッシュタイム、みんなとコミュニケーションを取るという”お茶の時間を楽しむ文化”が根づいています。茶葉を食べる習慣もありますし、山師の人が仕事中、そこかしこに自生しているお茶の木の枝を焼き、お湯に入れて飲んでいたとも言われています。この茶藝館はお茶の専門店として九州でも珍しく、お茶のファンクラブの方が九州各地から来られます。泉村でお茶会もするので、ぜひ飲みに来て下さい」
奥には中国風インテリアの中国茶コーナーもあり、おなじみのウーロン茶やジャスミン茶が楽しめます。また「茶の香」ショップでは、茶葉や茶器や茶托などの小物も販売しています。 |