春風満開!緑川流域 新緑のアウトドアと文化発見の旅

 そサザンルートを進み、矢部町に入って商店街を抜けると、突然視界が開けて通潤橋がその優美な姿を見せます。
 この橋は、石橋としては日本有数の大きさを誇り、有名な肥後の石工たちの腕による最高傑作です。(肥後の石工と石橋については、こちらの特集をご覧ください。)ところがこれはただの芸術品ではなく、水不足を解消するための灌漑用水路という人々の生活を支える大切な役割を果たしているのです。時にはアーチの中央から放水するというダイナミックなパフォーマンスのおまけ付きです。

 さてこの通潤橋、小学3年生の学習旅行で訪れて以来のご対面です。でも・・・こんなに大きかったっけ?普通子供の頃に大きく見えたものは大人になったら「何これ?」と拍子抜けするほど小さく感じるというのに・・・。写真やテレビの映像や自分の曖昧な記憶より、かなりスケールの大きい石橋に、ただひたすら驚く私。丘の公園には名残桜がちらほら。でも今は菜の花が全開です。どうです、きれいでしょ?

 んぼを抜けて石橋に近付こうとしていたその時、橋の中央に数人が歩み寄り、一人が何やらごそごそとし始めました。……もしかして!「放水するぞ、急げ!」と同行カメラマンに言われ、全速力で橋のふもとに駆け寄ります。その方が管の栓を抜くと、勢いよく水がほとばしり始めました。感動!どなたかが放水を予約してくださったんでしょう、生で放水シーンが見られて本当にラッキーでした。

 真下から橋を見上げると、さらに大きい!中央部分からとめどなく放出する水の勢いと轟音、水しぶきにしばし呆然と見とれます。周りの観光客も、水しぶきに思わず声を上げています。
 より詳しい情報を求めて、説明文を読みます。「ここ白糸台地は昔から水に乏しい土地でした。そこで1852年、ここ矢部の庄屋が肥後の石工たちとこの橋を設計し、1年8ヶ月かけて完成しました。長さ75.6m、幅6.3m、高さ20.2mの巨大な石橋に126.9mもの長さの石管が通され、6kmも離れた笹原川から農業用水と生活用水を引き、100ヘクタールもの水田を潤わせました。また灌漑だけでなく、人馬を渡す交通網の機能も果たしていました。昭和35年には国の重要文化財にも指定されています」

 橋を設計した庄屋さんは、橋の建設以外にもさまざまな事業を施し、人々の生活を支援してきたそうです。通潤橋は、石工たちの職人魂と庄屋の人助けの心など、多くの人々の想いを込めた橋だったんですね。そして現在も橋は矢部町の水田を潤わせ、その優美な姿とダイナミックな放水パフォーマンスで、観光客の心を魅了しています。

 潤橋の手前には矢部町の物産館「虹の通潤橋」があります。ここには柚を使った加工品やブランド茶の矢部茶、手作りの味噌、新鮮な野菜、純米酒や有機栽培のアイガモ米など、食品を中心に品揃えも豊富です。また、観光ビデオコーナーでは矢部町の美しい自然が紹介されています。隣接した郷土料理レストラン「いしばし」では、鴨肉を使ったうどんや定食が人気です。
 この敷地内の公衆トイレの近くに、大変面白い手洗い場を発見。通潤橋のミニチュアのようで、橋の両脇に蛇口があり、水を出すと橋の中央に流れて放水されるというかわいい仕掛け。記念撮影している方もいましたよ。
 矢部町はこの通潤橋の他にも、「矢部の48滝」が有名だそうです。特に五老ヶ滝という高さ50mの大きな滝には吊り橋も架かっており、もうひとつの観光スポットでもあります。
 

お問い合せ
虹の通潤館
上益城郡矢部町下市184-1 TEL(0967)72-4844
営業時間:9:00〜16:30。休館日:年末年始。

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