熊本の地中海・水俣でリゾート気分 不知火海沿岸のレジャー&グルメ

 水俣川に沿って河口へと進み、くねくねした峠を越えると、湯の児温泉街がある入江に着きます。この入江の湾には、一方に湯の児島や海水浴場があり、湾を挟んでもう一方には長い釣り桟橋があります。

 釣り桟橋の先には丸い釣り台が備えられ、脇には何やら怪しげな船が接しているのを発見しました。ここが湯の児フィッシングパークです。誰でも気軽に釣り体験ができる観光名所です。のどかな昼下がりに、多くの人々が釣り糸を垂らしています。

 桟橋入り口付近から海を覗くと、本当に水がきれいで、潮の香りがぷんぷんします。やたらと大きなウニが岩場にたくさんいました。

 釣り道具とエサはその場で購入できるので、手ぶらで来ても大丈夫。初心者の私に釣り指導してくれるのは、アルバイトの寺本さん。寺本さんは地元の方で、子供の時から8年も釣りをしてきたというベテランです。

寺本さん:「いつもは子供とか女性とかの釣り初心者が多いけど、今日は玄人しかいないですねぇ」

 そ、そんなこと言わないで下さいよ・・・プレッシャー感じるなぁ。確かにみなさん常連っぽい人ばかり。余裕を漂わせながら静かに海と釣り竿を見つめています。

〜ここのフィッシングパークで釣れる魚は?〜

寺本さん:「春はベラ、メバル、スズキ、タイ、チヌ。夏はキス、ボラ、アジ、メジナとか。秋はチヌ、カレイ、スズキ、メジナ、冬はメバル、ベラ、チヌ、スズキとかですね。昔はイカも釣れたんですよ」

〜よく釣れる時期や時間帯は?〜

寺本さん:「夏です。ちょうどお盆の帰省客が多い時期ですね。

時間帯だと、満潮時と夕方が狙い目です。アジ、ハダラ、イワシ、ツバメ、タイとかが釣れますよ」

 今は夏真っ盛り。どうやら私でも釣れそうなのでほっとしました。

 寺本さんに、この施設内で最も釣れやすいという釣り台の一角に連れていってもらいました。バケツに入ったエサは、子エビとパン粉を混ぜたものです。

 試しに水面にエサをばらまくと、あっという間に小魚がいっぱい集まってきました。釣り糸の先にヘアカラーみたいな丸いケースがついていて、その中にエサを入れて魚をおびき寄せ、釣り糸に仕掛けられた釣り針に食いつかせるという仕組みです。

 寺本さんがエサをぱんぱんに詰めてくれて、「ルアーを3回転半させて糸を下ろし、しばらくしたら思いっきり釣り竿を引っ張ってください」と竿を渡してくれました。ドキドキしながらルアーを回し、エサはどんどん深く沈んでいきます。

 「そろそろいいですよ」と合図があると、ルアーを止め、エサをゆらゆら動かすように釣り竿を操ります。そして一旦思いっきり引き寄せると、また沈めます。この繰り返しです。

 さっぱりかからない時は、エサが食べられてしまった証拠。たぐり寄せるとエサ箱は空っぽです。

 あーあ、とがっかりムードが漂います。

 常連らしい釣り人の一人が、ニヤリと笑いながら「全然釣れないな、指導が悪いんじゃないか?」と寺本さんをからかいます。

 そうじゃなくて、本当に私が素人なだけなんです。寺本さんは悪くないですよー。

 気を取り直して、またエサをぎゅうぎゅうに詰めて海に沈めます。すると今度は、竿の先が変わった動きをしはじめました。竿を伝って、魚が釣り糸をぐいぐいと引っ張るのを感じました。「釣れましたよ、さあ引き上げて」との言葉に、夢中でルアーを巻きます。釣り針に食いついている魚の銀色の腹がキラキラと光っています。やったあ!釣れたぞ!小さいけれど、十分な戦利品です。調子に乗って、30分ほどの間で子アジとメバルを5〜6匹釣りました。

 証拠写真を取ろうと魚のしっぽを掴んでカメラに向けようとすると、体がぬるぬるしている上に暴れるので海に落としてしまい、何匹逃がしたかわかりません。

 タオルでくるんで、ハイ、チーズ。超初心者でも釣れるフィシングパーク、釣りの楽しみを知る第一歩にはいいかもしれません。

 さて今度は、さっきからすごく気になっていた怪しげな船に乗り込んでみようと思います。船の名前は「海賊船どんがばちょ号」。コロンブスがアメリカ大陸に上陸したときの「サンタ・マリア号」をモチーフにした海賊船です。とある伝説によると、どんがばちょ船長が湯の児島を発見し、ふるさとスペインの海に似た湯の児温泉を気に入って、ここにイカリを下ろしてしまったという・・・。なんともほのぼのしたエピソードです。

 名前は一般公募で募集したそうですが、出所はもちろんテレビの「ひょっこりひょうたん島」。湯の児地区観光振興の目玉として、平成6年に完成したそうです。

 内部は海中観察コーナーになっていて、船内の円い窓から海中が見られます。小さな魚がちらほら泳いでいましたが、それ以上のクラゲの数にびっくり!ひええー。
 特産品コーナーのほか、金貨の箱や海賊船に模した海賊コーナーもあり、子供に人気がありそうです。
2階はクーラーが効いた休憩室でした。涼しいなぁ。

 その休憩室には、赤いスカーフみたいな帽子、黒い角張った帽子、縞模様のシャツ、黒いチョッキ、おもちゃの刀など、怪しげな海賊用の衣装が置いてあります。あと眼帯と海賊フックみたいな鍵の義手とかあればいいのになーとか思いつつ、いい年して舵を取り、一人で海賊ごっこをしていました。ちょっとむなしい。
 かわいい子供たちも海賊の格好をして元気に走り回っていました。混ぜてほしいなあと期待しつつ、突撃インタビューです。

「ねえねえ、この船の名前知ってる?」

「どんがばちょ」

「どんがばちょってもともと何の名前でしょう?」

「・・・」

 うーん、やはりこの世代には無理があったようです。気を取り直して、記念撮影しました。ちびっこ海賊たちもどんがばちょ号に大満足のようす。

 フィッシングパークのすぐ側に、湯の児島という小さな島が浮かんでいます。橋を渡り、15分ほどで島をぐるりと巡ることができます。原始的な自然の姿を残す美しい島です。よく見ると、島の至るところに亀の像があるのがわかります。

 特に有名なのは、「願かけ亀」という伝説の白亀の像です。「続日本紀」によると、かつて不知火海沿岸の葦北郡あたりから日向の国(宮崎県)にかけて、海川山野にたくさんの亀が生息しており、その中から白い亀を発見すると、亀ボク(占い)に用いるのみならず、白雉、白馬、白蛇などが神聖化されていたのと同じ理由から、朝廷に献上されていたそうです。

 水俣市には他にも亀にまつわる観光名所が数多くあります。水俣で亀探しの旅も楽しそうです。橋の下は湯の児海水浴場。干潮時には陸続きになるほどの浅瀬で、子供連れも安全です。ここの海も本当にきれい。魚釣りに海水浴に島巡り、そして温泉もありと、最高のリゾート地ですね。

●お問い合せ
湯の児フィッシングパーク
水俣市湯の児温泉
TEL(0966)63-3870
釣り台120名
釣り料:大人500円、子供200円。竿の持ち込みは一人2本まで
開園時間:春・秋8:00〜19:00、夏7:00〜21:00、冬8:00〜17:00。
休園日:月曜日。

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