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本丸御膳

 今年4月に復元公開された熊本城の本丸御殿大広間は、加藤清正が慶長15年(1610)頃創建。城郭の中で天守閣とともに中心をなす建物で、戦いの中心が天守閣とすれば、本丸御殿は、藩主が日常を過ごす生活の場でした。そのため藩主の居間、対面所(接客の間)や台所等の機能が備わっており、大広間(対面所)、数寄屋(茶室)、大台所等が復元されています。

 熊本城は平成19年に築城400年を迎え、築城400年記念事業の一つとして、熊本の食文化を掘り起こし、後世へ継承しようと、同事業室では、江戸時代に書かれた熊本の貴重な料理秘伝書「料理方秘」や、近世熊本の食品・料理集「歳時記」をもとに往時の献立を再現した「熊本藩士のレシピ帖」を作成。これらの文献をもとに、熊本城の更なる魅力のアップと、来園者の方々に食事の提供をと、平成20年8月より、本丸御殿大台所2階で「本丸御膳」の提供が始まりました。
 熊本城は特別史跡で、敷地内で火の使用が出来ないため、IHヒーターを用いて熊本市の和食店「郷土料理青柳」が調理。献立は同店料理長である松村健司さんが、文献に書かれている意味や調理法を自分なりに理解し、「熊本藩士のレシピ帖」の監修者に相談を重ねながら、現代人の嗜好に合わせ考案されたもので、熊本の郷土料理の要素も盛り込まれています。1日50食限定の「本丸御膳」は連日満席の人気ぶりで、この日も多くの方が本丸御殿の荘厳な雰囲気の中で、藩士の食事を楽しまれていました。
 細川の九曜御紋の描かれた見事な漆器は、この本丸御膳用に特別に誂えたもので、これらに盛りつけられた料理は全8品。郷土料理である辛子蓮根や、水前寺菜など地元食材を用い、調味料も出来るだけ当時のものを使って調理されています。
 御鱠の「スズキの洗い」は、橙酢(だいだいす)という調味料でいただき、「昆布じめ」は煎酒(いりさけ)という醤油が普及する前の調味料を、ここでは熊本古来の赤酒で作ったものでいただきます。いずれも食材の味を生かして、本来の素材の旨味を味わうといった食べ方です。御汁の「くしいと」は、ポルトガルから伝来した料理「コジイト(ゆでた肉)」に由来すると言う料理で、味噌仕立ての鴨汁になっています。カツオだしの効いたほんのり甘い味噌汁が、鴨肉の旨味を更に引き立てます。熊本藩主細川慶順初入国を祝う御祝御能の膳にも使われたという「そそろ麩」も入っており、藩主と同じ物を食べているのがなんとも贅沢に感じられました。他にも、鳥飯や数々の珍しい料理、そして当時のお菓子など、かなり満足のいく内容とボリュームで、現代風に塩分控えめの上品な味付けとなっています。


なます

くしいと

 「当時の背景を思い浮かべながら食事を楽しんでいただけたら嬉しいです」とは料理長の松村さん。本丸御殿の厳かな雰囲気の中で、食事をしていると、まるで藩主になったような気分。「本丸御膳」で更なる魅力が増えた熊本城。今後も季節折々の旬の食材を使った御膳を楽しむ事ができるそうです。みなさんもこの食の体験をして、新たな熊本の歴史の魅力を感じてみませんか。

お問い合わせ 
郷土料理 青柳
住所:熊本市下通1丁目2番10号
電話:096-325-0092(受付時間10:00〜17:00)
料金:3,000円(お一人) 提供時間:11:30〜14:00
※提供日の5日前までに要予約、2名様〜 ※別途入園料(大人500円、小人200円)が必要。


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